令和7年6月27日(金)、つくば市立谷田部中学校に於いて、全学年387名に、「いのちの授業」を行いました。
- 若尾
- 2 日前
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令和7年6月27日、茨城県つくば市の南部に位置する谷田部中学校で、「いのちの授業」を行ってきました。
谷田部中学校は、教育目標を
「今をひたむきに たくましく生きる生徒の育成 ~感動・夢・挑戦~」
に置き、
「主体的に学び、多様性を認め、協働して課題を解決する生徒の育成」
を研究テーマとし、
「確かな学力、豊かな心、健やかな体、コミュニケーション力、協働(コラボ)力、表現(プレゼン)力」という資質・能力の育成に力を注いている学校でした。
校長先生とお話をさせて頂きましたが、生徒の人としての育成に基軸を置き、学校全体の成長を真剣に目指している思いを受け止めさせて頂きました。本授業のご担当の先生も、大変熱心に、対応して頂きました。厚く御礼申し上げます。
授業の後、生徒さん方からそれぞれの思いの籠った手紙を頂きました。全員の手紙をご紹介することはできませんが、できるだけ多くの手紙(抜粋)を下記にご紹介させて頂きます。
尚、手紙の掲載、及び授業時の写真の掲載につきましては、学校側からのご了承を頂いております。
《手紙》
『前までは、「命を大切にする」という言葉だけが頭に入っていましたが、今回の授業で、それがなぜなのか理解を深めることができました。私は、命があり、生きているのには、人に役割があるからだ、とも考えます。一人ひとりが役割を持って生まれ、人のため、あるいは世界の為に使命を果たす。そう言うことではないでしょうか。これからも精一杯生きていこうと思います。』
『ぼくは、今回の授業を受けて、命をもっと大切にしようと思いました。いのちの大切さについて分かりました。そして、授業を受けて心に響きました。ぼくは、昔自分が嫌いだと思っていて、今回の授業を受けて、もっと自分を大切にしようと思いました。だから、自分を大切にします』
『学校生活をしていく中で、いじめは周りに起きてしまうかもしれないので、見ぬふりをしないで止めたり、相談に乗ったり、先生に言ったり、できるだけ相手が嫌な気持ち、「いなくなりたい」と思わないように、自分ができることを精一杯頑張ろうと思いました』
『講演と聞くと、ただ話を聞いて理解するものだと思っていました。ですが、今日の講演は、自分で命の大切さに気付き、他の人の意見で、より考えを深めることができたので、「自分の価値観を大切にする」ということも学ぶことができました。いのちの授業のおかげで、命の大切さを改めて実感することができました。これからも自分の命も相手の命も大切にしようと思います。』
『この講演会を通して、自分は命に対する認識が、まだまだ甘かったように感じました。これまでも、命に関する講演は何度か聞いたことがありましたが、今回の講演は心への「響き」が違ったような気がします。実話を含めたお話に加えて、自分たちに「考えさせる」という新しい形の講演は、どれも心に残るものばかりでした。これからも、「命の大切さ」を全国に伝えていってほしいです。応援しています』
『ぼくは、命の話を聞き、つらいこともたくさんありました。でも、若尾先生の話を聞いて、命が大切なことが分かりました。これからは、命を大切にしたり、人を傷つけることはもうしない、命にかかわることをもうしない、自分が命を絶つようなことをしない、ことを目指して生きようと思います。・・・。生きるためには、困難ですが、今生きることが大切だっていうことが分かりました』
『私は今までに、「死にたい」と思ったことが数えきれないほどあります。今も思っています。だけど、今日の授業を聞いて思いました。「私が死ねば、多くの人々が悲しむ」、「私が死ねば、この先生まれてくる子ども達が亡くなってしまう」と。これだけ大切な命を私は軽く見ていたことに気づかされました。本当にありがとうございました。若尾様のお言葉に勇気をもらいました。これからも生きていこうと思えるようになりました」
『いのちの授業を受けて、命は大切なものだということは分かっていましたが、授業を受けて、もっと大切なものだということが分かりました。「命は一人ひとりが一つの命を抱えており、価値のない人間などいない。そして、人と人とが傷つけあってはいけない。何か嫌なことをされたからといって、「いじめ」、「悪口」などをやってはいけない。なぜなら、「一人ひとりに感情があり、人それぞれ受け止め方が違うから」ということが分かりました。これからの人と人との関わり方、命の向き合い方について考えていきたいです」
『私は、この講演を受けて、これからも自分自身を大切にしていこうと思える気持ちに変化しました。世の中には、小さい子どもでも亡くなっている人がいると、改めて考えてみると、今の自分はとても貴重な存在で、大事な人などと考えると、これからも生きていこうと思える気がしました。この世の中に、必要ない人なんかいないと言われたことが、私の中で印象に残りました』
『若尾さんが最初に話していた、「命は知識として教えるものではない、言葉のみで伝えるものではない、理解させようとするものではない」ということです。例として挙げていた人たちのように、私も、今まで一方的に教えられてきたことしかなかったので、今回のような、みんなで作っていくようなものは初めてで、とても新鮮でした』
『いのちの授業は、とても分かり易く、興味深くて、考えが深まる授業でした。私は、このいのちの授業を受けて、とても「命って大事なのだな」と思いました。全部教えるのではなく、生徒自身に考えさせる、このいのちの授業のスタイルは、とても生徒の為になるものだと思いました。このいのちの授業を受け、幸せや生きることについての考え方が変わりました。今回のいのちの授業を受けてみて、本当に良かったと思いました』
『正直、何度か、命を投げ出そうと考えたことがありました。やろうとした事ができず、友人に怒られて、親にも責められて、何度も首を吊ろうか考えました。本気で死にたいと思い、薬を買う方法を調べたこともありました。しかし、ひとみさんの作文を見て、「生きることがすごいこと、偉大なこと」だといわれ、今を生きることがどれだけ偉大なことか、素晴らしいことかを実感することが出来ました。これからは、命の大切さを理解し、みんなに、広めていき、ひとみさんの思いを受け取り、みんなにひとみさんの思いを受け継いでいきたいと思います』
『今まで、「当たり前」だと思っていたことが、当たり前ではない人たちがいることに改めて気づかされました。私は中学生になり、勉強やバスケなどで、忙しい日々を送っています。その中で、全く分からない難しい問題や、暑い中での走り込みは地獄です。そうすると、軽い気持ちで「死にそう」や「死んじゃいそう」という最低な言葉を使ってしまう時があります。今日の授業を受けて、猛反省しました。もう絶対に言いません。私は命があるだけ、何回でも立ち直れます。家に帰れば、おいしいご飯が机に並べられていて、いつでも私の見方でいてくれる家族だっています。毎日笑い合って学校に通う友達も、一緒にバスケを楽しむ仲間もいます。この当たり前の日常に心から感謝をして、生きていきたいです!』
『私は、今回の命の授業を受けて、改めて“命”について考えることができました。私は大切な家族や友人などを失ったことはありません。朝起きたら家族がいて、当たり前に学校に行けて友人がいる。この日常がどれほど“幸せ”なことか、今回の授業で気づかされました』
『今回のいのちの授業を受けて、私は、今までも何度か同じような授業を受けたことがありました。また、長時間つまらない話を聞かなければいけないのかと思いましたが、今までとは違い、今回のいのちの授業は、ただ自分の意見を押し付けるのではなかったので、集中して最初から最後まで話を聞くことができました。今回のいのちの授業で、いろいろな話を聞き、ただ頭に入れるだけではなく、しっかりと心に刻むことができました』
『今まで、命の授業は何回か聞いてきましたが、相手が体験したことから「命は大切なのです」といわれることが多く、それを自分の「命」や「生きること」に置き換えるのが難しかったのですが、この講演では、自分に置き換えて考えられる言葉などが多く、「命」、「生きる」に対して、より深く考えられることができました』
『私は今まで正直、講話はただ聞くだけでつまらないなと思っていました。ですが、今回は自分で自分の心と向き合い考えることができて、とてもいい機会になったと感じました。いじめはしてはいけない、思いやりを持って人と接するべき、環境は守っていかないといけない、命を大切にする、これらのことは今まで当たり前のように大人から教えてもらってきました。ですが、どうして命を大切にしなければならないのかというところまで、深く考えてきませんでした。そんな自分を反省し、改めようと思いました』
『私は今回の命の講話を受けて、命はなぜ大切なのかを改めて考えさせられました。今までは、命は大切という言葉だけが頭の中にあり、なぜ大切なのか、どのようなものなのかという考え方はできていませんでした。命は大切だという思いだけで終わっていました。ですが、今回の講話では、今まで深く考えられていなかった命の大切さや、命とはどのようなものか深く考えることができました』
『私は、今までにあった命の授業の内容を知識としてとらえ、頭で考えていました。しかし、授業を聞き、命の話は知恵としてとらえ、心で考えるものということが分かりました。また、考えを変えることによって、命の本当の意味に気づくことができるということも分かりました』
『私が命の授業を受けて、一番心に残った内容は、「命についての価値観は人に一方的に押し付けるものではない」ということです。今まで、小・中と、命の授業は毎年に一回といっていい程、多く受けてきました。しかし、今までのものは、一方的に私たちに話す講演会などでした。毎年、そのようなものを受けるわけですから、何を言いたいのか、伝えたいのか分かるようになってしまい、知識として内容をとらえ、私自身では、「考える」ということをしなくなっていきました。今回の授業では、そのようなものではなく、「一緒に考えてみる」という初めてのスタンスで驚きました。しかし、このようなスタンスで授業を受けてみると、今まで放棄していた「命について考える」ということができるようになりました。 ・・・。普通の授業の体制「一方的に教える」ではないからこそ、たくさんの学び、価値観を得ることができました』
『今回のお話について聞き、一緒に考えたことで、私たちにとって幸せは何なのか、命はなぜ大切なのかについて、改めて理解することができました。今までの講演会は一方的に講師の方の話を聞くだけだったので、今一話が入ってこないことも多かったけど、若尾先生の講演会は、私たち生徒の考えを積極的に聞き、そこから話を広げてくださったので、とても頭に入り易く、命、幸せについて深く考えることができました』
『今回の授業を受けて、命の大切さについて改めて深く考えることができました。普段の生活では当たり前のように感じている「生きていること」や「誰かと過ごせる時間」が実はとてもかけがえのないものだということに気づかされました。・・・。さらに、自分の命を大切にするということは、自分を無理に追い込まず、心や体の声に耳を傾けることでもあると、学びました。辛い時には、誰かに頼ってもいい、自分を大事にすることが、周りの人を大切にする第一歩でもあるという気づきを得ることができました』
『今回の授業を通して、私は、これからの毎日をもっと大切に生きていこうと、強く思いました。日々の中で見落としがちな「生きていることのありがたさ」や「誰かと一緒にいられる喜び」にもっと目を向けていきたいです。これからは困っている人に優しい言葉をかけたり、身の回りにあふれているたくさんの命に思いやりを持って接していきたいです』
『誰もが悩みを抱えているし、すべてが嫌になるような出来事が一度はあったと思います。私もその一人で、そこまで、生きていることに対しての有難みを感じていませんでした。ですが、今日、こうして講演会を聞き、すべての人に価値があるし、生きているということだけで素晴らしいんだと知って、気持ちが軽くなりました。今回の講演で、命の大切さや自分の人生を見つめ直すことができました』
『人権や命、いじめなどの講演会は、今までに何度か受けたことがありましたが、このような生徒と一緒に考えるタイプの講演会は初めてで、とても新鮮でした。今まで受けた講演会は講師の方が一方的に話すので、深く考えることができませんでしたが、今回のような講演会では、自分ごとに捉えやすく深く考えることができました。今までは、命は大切としか思っておらず、なぜ大切?どうして?ということは考えていませんでした。ですが、今回の講演会を受けて、考えることができました』
『今回の授業で、私は自分の命と向き合い、大切にする決心をし、新しい認識をすることで、命と触れ合う機会や、自分の命などを当たり前にあるものと思わず、自分がいるから、その命があったからという事実を大切に生きていくという、一つの考えを持つことができました。僕は、一つの命として、最後まで人生を全うしたいです』
『生きたくても生きられなかった人々の存在を改めて感じて、自分が、今、ここで生きていられることに感謝しようと思いました。今まで何度も人生を投げ出したくなったけど、今日学んだ、命さえあればなんとかなる、ということを忘れずに強く生きていきたいです。
・・・。今日の講演会を通して、自分自身の生き方について、もう一度見つめ直したり、命の大切さについて、改めて考えたりできる良い機会になりました』
『いつもは、ずっと聞いているだけで、少しつまらないなーとか、どういうこと?と思うことが多かったけど、生徒に質問したり、考える時間をくれたりして、なるほど!!とか、そういうことか!!と思えました。今日の講演会で心に残っている言葉は、「命は教え、伝え、理解させるものではない」という言葉と、「生きている意味がない人なんていない」という言葉です。この2つの言葉がすごく心に響いて、あーそうだな、確かにと思いました。もし、自分がつらい時があったら、この「生きている意味がない人なんていない」という言葉を胸にがんばっていきたいです』
今回も、「命は知識として教えるものではなく、言葉のみで伝えるものでもなく、頭で理解させようとするものではない」という本授業の根幹にある理念を基軸に、生徒さん方の心に内包されているそれぞれの命への思いを尊重し、心の中から引き出すこと、そして、生徒さん方が自ら考え、気づき、発言することを重視した授業を行いました。
全国、延べ800校(小学~大学)近い学校でいのちの授業の実践を通して、私が生徒さん方から学び、気づいたことが数多くあります。その中の一つ、小学1年生、2年生に、「命とは何だと思いますか?なぜ命は大切なのですか?」と、問いかけた結果、「かけがえのないもの」、「心」、「勇気」、「愛」、等々、中には、「僕は、命の意味が分かった。本気で生きること」、「何のために生きるかを考えること」と、想像を超える程の命への思いが返ってきたのです。勿論、このように答えてきた生徒さん方は一部ではありますが、答えてこなかった生徒さん方に、この言葉を知っていますか?と問いかけると、「知っているよ、大体意味も分かるよ」と多くの生徒さん方が答えてきたのです。
この時、一方的に話続ける講演形式で、いのちの授業を行ってきた私は大きな気づきを得たのです。「小学1年生、2年生でも、すでに命への尊い思いを心に内包していたのだ。一方的に話し続ける講演形式でいのちの授業を行っていた私が、生徒さん方の心の内に気づいていなかっただけなのだ。生徒さん方に対して大きな間違いを犯していたのかもしれない」と。この時から、一方的に話続ける授業の在り方を変え、対話形式で、尚且つ、生徒さん方の心の中から命への思いを引き出す授業に変容させてきたのです。
そして、より重要なことは、授業の存在意義を受け止めてくださる学校の存在です。
谷田部中学校もその一つで、校長先生とのお話の中で、一方的な講演形式ではなく、生徒さん方との心の交流が図られる、いわゆる学校で行われている授業の形に重きを置いておられることを受け止めさせて頂きました。また、生徒さん方の人としての成長に強い関心を持たれ、それが実践される学校環境を創造され続けていることを感じたのです。
そのような中で、成長され続ける生徒さん方が受け止めてくださった授業への思い。

ご紹介できなかった手紙も含め、当授業の存在意義を心から受け止めてくださり、これからの生き方に生かしていこうとする思いを、手紙から強く感じさせて頂きました。
今回、校長先生の学校環境を創造し続けるお姿、授業の実施に関してお力をくださったご担当の先生の心温まるご対応、そして生徒さん方の心籠った手紙を通して、谷田部中学校の存在意義に気づかせていただきました。また、授業を行わせて頂きたいと心から思う学校でした。いのちの授業を行わせて頂いた谷田部中学校に感謝申し上げます。
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